昔取った杵柄

香川照之の『昆虫すごいぜ』を見てから、
急にカブトムシに興味を持った息子。
妻の田舎に帰省することになり、「カブトムシを捕りに行こう」とせがまれた。
 
実は私も昆虫少年だった。
小学生時代住んだクソ田舎で、子どもの娯楽は虫取りぐらいしかなかった。
当時夢中になってクワガタを探した用水路沿いのヤナギの木、クリ林。
鮮明に思い出す。
採集が上手な子とつるんで、スズメバチにおびえながら駆け回っていた。
 
ただ、息子は大の虫恐怖症である。
このアンビバレントな状態で、車で偶然通りがかった雑木林へ突入。
さすが、見込んだ林だけあって、いきなり樹液にたかるカナブン発見。
だが、息子はカナブンすら怖いと言って触れず。
さらに奥地に分け入るも、やれガがいた、やれ何かの虫がいたとかで、
とうとう帰ろうと言い出す始末。
 
あきらめかけたそのとき、ふと頭上の幹を見ると、
なんと樹液にノコギリクワガタのアベック(死語)の姿が。
息子は興奮した様子で「早く採ろう」と言ってくる。
こちらは、自然の姿を少しでも見せようとするが、そんなことおかまいなし。
雄雌でお楽しみの所、申し訳ないが捕虫網で2匹とも捕獲完了。
 
家に帰る途中に、懐かしの昆虫マットや昆虫ゼリーを買って飼育体制も万全に
息子は祖父母に自慢し、「僕の宝物」とうれしそうに飼育ケースを眺めていました。
ノコギリクワガタは中ぐらいの個体ですが元気いっぱい。
何とか秋ぐらいまで生きてもらって、産卵までいきたいところです。
 
全ての経験は無駄ではないと言うけども、
自分的には本当につらかったあの田舎暮らしが、こんな形で役立つ日が来ました。
家にGが現れても、落ち着いて退治できるのも、あの日々があるからです。